冬の家が寒い…。窓・床・壁、どこから直せばいい?断熱リフォームの優先順位の決め方
「暖房をつけているのに、なぜか足元が冷える」「朝起きるとリビングが冷え切っている」「お風呂の前の脱衣所が寒くてつらい」。松本で暮らしていると、冬になるたびにこうした悩みを感じる方は少なくありません。
気象庁の平年値(1991〜2020年)では、松本の1月の平均気温は-0.3℃、日最低気温の平均は-4.9℃です。冬の寒さが厳しい地域だからこそ、家の断熱性能は暮らしやすさに直結します。
とはいえ、「窓・床・天井・壁のどこから直せばいいのか分からない」という声もよく聞きます。この記事では、寒さの原因の見つけ方から、工事ごとの特徴、予算に合わせた優先順位の決め方、2026年に使える補助制度までを順番に解説します。
結論:「どこから」は家ごとに違う。まず寒い場所と時間帯を整理しましょう
断熱リフォームには「必ず窓から」「必ず床から」という決まった正解はありません。同じ築年数の家でも、窓の種類、床下の状態、間取り、暮らし方によって、寒さの原因が違うからです。
そのため、工事を考える前に次の3つを整理するのがおすすめです。
・どこが寒いか(リビングの窓際、足元、脱衣所、廊下など)
・いつ寒いか(朝だけ、一日中、入浴前後など)
・どの部屋をよく使うか(家族が長く過ごす部屋はどこか)
この3つが分かると、「限られた予算で、どこを優先すれば暮らしが変わるか」が見えてきます。
寒さの原因を見つける:家の中で寒くなりやすい場所
窓の近くが寒い
窓は壁に比べて熱が逃げやすい場所です。環境省の環境白書では、冬の暖房時に流出する熱の58%が窓や扉などの開口部を経ていると紹介されています。窓際に立つとひんやりする、カーテンを閉めても冷気が下りてくる、窓に結露が多いといった場合は、窓まわりが寒さの大きな原因になっている可能性があります。
足元が冷える
暖房で温まった空気は上にたまり、床付近は冷えやすくなります。特に築年数の古い住宅では、床下に断熱材が入っていない、または薄いことがあります。スリッパを履いても足が冷える、床に座ると冷たいと感じる場合は、床下の状態を確認する価値があります。
脱衣所・浴室・トイレが寒い
リビングは暖かいのに、脱衣所や浴室、トイレだけが寒い家もあります。部屋ごとの温度差は体への負担にもつながります。消費者庁によると、令和4年に溺死した65歳以上の方は7,900人で、そのうち5,824人が家や居住施設の浴槽で亡くなっています。消費者庁は、入浴前に脱衣所や浴室を暖めることを呼びかけています。
2階や天井付近が寒い・暑い
天井や屋根の断熱が不足していると、冬は暖かい空気が逃げ、夏は2階が暑くなりがちです。「2階の寝室が冬は寒く、夏は暑い」という場合は、天井裏の断熱材の状態を確認します。
窓・床・天井・壁の断熱工事を比較
工事ごとの特徴を表にまとめました。費用は家の大きさや既存の状態、選ぶ製品によって大きく変わるため、ここでは「工事の規模感」として比較しています。
| 工事の場所 | 主な工事内容 | 工事の規模感 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 窓 | 内窓の設置、ガラス交換、窓の交換 | 小〜中(内窓は1窓あたり短時間で設置できることが多い) | 窓際の冷え・結露が気になる、住みながら工事したい |
| 床 | 床下からの断熱材の充填、床の張り替えと同時の断熱 | 中(床下に入れるかどうかで方法が変わる) | 足元の冷えが強い、床の張り替えも検討している |
| 天井 | 天井裏への断熱材の敷き込み | 小〜中(天井裏に作業スペースがあるかによる) | 2階が寒い・暑い、天井裏の断熱材が薄い |
| 壁 | 内装をはがして断熱材を入れる、外壁改修と同時に断熱 | 大(内装・外装工事を伴うことが多い) | 間取り変更や外壁の張り替えなど、大きな工事を予定している |
窓:比較的手軽に始めやすい
内窓(今の窓の内側にもう一つ窓をつけること)は、壁や床を壊さずに取り付けられるため、住みながら工事しやすい方法です。当社のコラム「「内窓」の設置で手軽に断熱性UP!」でも詳しく紹介しています。

床:足元の冷えに直接アプローチ
床下に人が入れるだけの高さがあれば、床をはがさずに下から断熱材を入れられる場合があります。床下の状態によって方法が変わるため、まずは調査が必要です。詳しくは「今年の冬は足元から冷えにくく!断熱リフォームのすすめ」もご覧ください。
天井:2階の寒さ・暑さ対策に
天井裏に断熱材を敷き込む工事は、条件が合えば内装を大きく壊さずに行えます。冬だけでなく夏の暑さ対策にもつながります。気流止めを合わせて行います。
壁:大きなリフォームと合わせて検討
壁の断熱は、内装や外壁をはがす必要があることが多く、単独で行うと工事が大きくなります。間取り変更や外壁の張り替えを予定しているときに、あわせて検討するのが現実的です。
予算と暮らし方から、優先順位を決める3ステップ
ステップ1:寒い場所を間取り図に書き込む
家の間取り図(手書きでも構いません)に、寒いと感じる場所と時間帯を書き込みます。「リビングの北側の窓際・朝」「脱衣所・夜の入浴前」のように具体的に書くのがポイントです。

ステップ2:よく使う部屋から考える
家族が長く過ごすリビングや、毎日使う脱衣所・寝室など、使う時間が長い場所を優先すると、限られた予算でも暮らしの変化を感じやすくなります。
ステップ3:家全体か、部屋ごとかを決める
予算に余裕があれば家全体の断熱を見直す方法もあります。一方で、「まずはリビングと脱衣所だけ」のように、よく使う部屋を中心に工事する方法もあります。どちらが合うかは、住まいの状態と今後の暮らし方によって異なります。
| 進め方 | メリット | 注意点 |
| 家全体をまとめて | 家の中の温度差を小さくしやすい。工事が1回で済む | 費用がかかる。工事期間が長くなりやすい |
| よく使う部屋から | 予算を抑えやすい。住みながら工事しやすい> | 部屋ごとの温度差が残ることがある。将来の工事計画も必要 |
2026年に使える主な補助制度(2026年10月時点)
断熱リフォームでは、国・長野県・松本市の補助制度が使える場合があります。どの制度も予算に達し次第終了するため、検討中の方は早めに確認しましょう。
| 制度名 | 主な対象工事 | 補助の上限など | 申請する人 |
| 先進的窓リノベ2026事業(国) | 内窓設置、外窓交換、ガラス交換、ドア交換 | 1戸あたり上限100万円(製品の性能と大きさで定額) | 登録した事業者 |
| みらいエコ住宅2026事業(リフォーム)(国) | 開口部・躯体の断熱、エコ設備など | 新築時期と工事内容により上限40万〜100万円 | 登録した事業者 |
| 信州健康ゼロエネ住宅助成金(リフォーム)(長野県) | 断熱改修を含む省エネリフォーム | 総工事費の20%まで、最大140万円 | 事業者(工事着手の14日前までに申請) |
| 松本市 住まいのゼロカーボン推進補助金(松本市) | 内窓設置・外窓交換・ガラス交換・ドア交換など | 内窓1か所6,000〜30,000円など。他の対象設備と合わせて上限20万円 | 市内の住宅に住む方(工事完了後180日以内に住宅課窓口へ申請) |
住宅省エネ2026キャンペーンの公表では、2026年10月3日時点の予算執行率は先進的窓リノベが26%、みらいエコ住宅(リフォーム)が8%でした。また松本市の補助金は、10月2日時点で「予算消化70%以上80%未満」と案内されています。松本市の補助金は、申請者が自ら住む市内の住宅が対象で、工事は市内に拠点がある事業者に依頼することが条件です。県や国の補助金との併用は可能とされています(市の他の補助とは、対象工事が重複しない場合に限り併用可能)。また、国のみらいエコ住宅2026事業は、交付申請の予約が遅くとも2026年11月16日まで、交付申請が遅くとも2026年12月31日までとされています。制度ごとに対象工事、申請時期、併用の可否が異なるため、必ず最新の公式情報を確認してください。
工事の前に、今日からできる寒さ対策
本格的な工事の前でも、暮らし方の工夫で寒さをやわらげられることがあります。工事を検討する際の「どこが寒いか」の確認にも役立ちます。
・厚手で床まで届く長さのカーテンにする(窓からの冷気が下りてくるのを抑える)
・床にラグやカーペットを敷く(足元の冷たさをやわらげる)
・入浴前に脱衣所を暖めておく(部屋ごとの温度差を小さくする)
・家具を窓や外壁から少し離して置く(結露やカビを防ぐ)
こうした工夫をしても寒さが変わらない場所は、建物の断熱に原因がある可能性があります。その場所をメモしておくと、相談の際に役立ちます。
フルハタ建設の断熱リフォームの進め方
当社では、断熱リフォームを次のような流れで進めています。
・ご相談:寒い場所・時間帯、ご予算、ご希望の時期を伺います
・事前調査:一級建築士が窓・床下・天井裏などの状態を確認します
・プランのご提案:調査結果をもとに、工事の範囲と優先順位を整理してご提案します
・補助金の確認:使える可能性のある制度と、申請の順番をご案内します
窓だけの工事から、家全体の断熱改修まで対応しています。断熱材の充填やサッシ交換、内窓の設置など、家の状態に合わせて方法を選びます。
松本の冬に多い「結露」と、断熱リフォームの関係
結露が起きやすい理由
結露は、暖かく湿った室内の空気が、冷えた窓ガラスや壁の表面に触れて冷やされることで起こります。気象庁の平年値では、松本の1月の日最低気温の平均は-4.9℃です。外が冷え込むほど窓や外壁に面した部分の表面温度は下がりやすく、室内との温度差が大きくなるため、結露が起きやすくなります。
結露を放っておくと
窓まわりの結露を放っておくと、カーテンや窓枠のカビ、木部の傷みにつながることがあります。また、目に見えない壁の中で結露が起きると、断熱材や柱などの構造材を傷める原因になることもあります。
断熱と換気をセットで考える
窓の断熱性を高めると、ガラスや窓枠の表面温度が下がりにくくなり、結露を抑える効果が期待できます。ただし、家の中の湿気の量が多いままだと、別の場所で結露が起きることもあります。断熱リフォームを考えるときは、換気の方法や、洗濯物の室内干し・加湿器の使い方など暮らし方もあわせて見直すことが大切です。
断熱リフォームの見積もりで確認したいこと
断熱リフォームの見積もりを受け取ったら、次の点を確認しておくと、工事後の「思っていたのと違う」を防ぎやすくなります。
| 確認すること | 見るポイント |
| 工事の範囲 | どの部屋の、どの窓・床・天井・壁を工事するのか。数量や面積が書かれているか |
| 製品・材料 | 窓の種類やガラスの仕様、断熱材の種類と厚さが分かるか |
| 付帯工事 | 内装のはがし・復旧、下地の補修、廃材の処分費などが含まれているか |
| 補助金 | 対象となる制度と、申請の時期・申請する人が説明されているか |
| 工事中の暮らし | 住みながら工事できるか、使えない部屋や設備があるか |
とくに補助制度を使う場合は、対象となる製品の性能や、工事前の申請が必要かどうかによって、選べる製品や工事の順番が変わることがあります。見積もりの段階で、補助金を使う前提かどうかを施工会社に伝えておきましょう。
よくある失敗と、避けるためのポイント
失敗1:寒さの原因を確かめずに工事した
「窓を替えたのに足元の冷えが変わらない」というように、原因と工事が合っていないと効果を感じにくくなります。工事の前に、寒い場所と時間帯を整理し、現地で状態を確認してもらいましょう。
失敗2:結露や換気を考えずに断熱した
断熱だけを強化して換気が不足すると、結露やカビの原因になることがあります。断熱と換気はセットで考えることが大切です。
失敗3:補助金の手続きが間に合わなかった
制度によっては、工事の前に申請が必要なものがあります。契約や着工のタイミングを決める前に、施工会社に補助金の利用を相談しましょう。
失敗4:窓だけ、床だけと場当たり的に工事を重ねた
寒さが気になるたびに一部分ずつ工事を重ねると、後から別の工事をするときに、せっかく直した内装をもう一度はがすことになる場合があります。一度にすべてを工事しなくても、家全体でどこをどの順番で直すかという計画を先に立てておくと、二度手間を避けやすくなります。
よくある質問
Q. 冬の間でも断熱リフォームはできますか?
- 内窓の設置など、住みながら短期間で行える工事は冬でも対応できる場合があります。ただし、工事内容や天候、製品の納期によって日程は変わります。ご希望の時期がある場合は早めにご相談ください。
Q. 断熱リフォームで光熱費はどのくらい下がりますか?
- 家の状態や暮らし方、工事範囲によって異なるため、一律の金額はお伝えできません。工事後の暖かさや結露の変化など、暮らしの変化も含めて検討することをおすすめします。
Q. 補助金は併用できますか?
- 制度によって異なります。例えば松本市の住まいのゼロカーボン推進補助金は、県や国の補助金との併用が可能とされています。一方で、同じ工事に対して併用できない制度や、条件付きで併用できる制度もあります。使いたい制度の組み合わせは、工事の前に施工会社と確認しましょう。
Q. 浴室や脱衣所だけの断熱もできますか?
- 可能です。「浴室・脱衣室の寒さを解消する!断熱リフォーム術」もあわせてご覧ください。
Q. 内窓とサッシ交換は、どちらがいいですか?
- 内窓は今の窓を残したまま内側に取り付けるため、比較的手軽に工事できます。窓枠の劣化が進んでいる場合や、窓まわりをまとめて新しくしたい場合はサッシ交換が向いていることもあります。窓の状態を見て判断します。
Q. 賃貸住宅やマンションでも断熱リフォームはできますか?
- 賃貸住宅の場合は所有者の了承が必要です。マンションの窓は共用部分にあたることが多く、管理規約で工事の可否が決まっています。まずは管理組合や所有者に確認しましょう。
Q. 補助金の申請は、自分でする必要がありますか?
- 制度によって異なります。国の住宅省エネ2026キャンペーンの補助事業や、長野県の信州健康ゼロエネ住宅助成金(リフォーム)は、工事をする事業者が手続きを行う仕組みです。使いたい制度が決まったら、誰がいつ申請するのかを施工会社と確認しましょう。
Q. 断熱リフォームは、どのくらいの範囲から相談できますか?
- 窓1か所の内窓設置のような小さな工事から、家全体の断熱改修までご相談いただけます。「まずはリビングの寒さだけ何とかしたい」というご相談でも構いません。
Q. 断熱リフォームをすると、夏の暑さにも効果がありますか?
- 窓や天井の断熱は、冬に熱が逃げるのを抑えるだけでなく、夏に外の熱が室内に入るのを抑えることにもつながります。2階が暑い家では、天井や屋根まわりの断熱を見直すことで、夏の過ごしやすさが変わることがあります。ただし、効果の感じ方は家の状態や日当たり、風通しによって異なります。
まとめ:まずは「寒い場所と時間帯」をメモしてご相談ください
断熱リフォームは「どこから直すか」に決まった正解はなく、家の状態と暮らし方によって優先順位が変わります。まずは寒い場所・時間帯・普段の暖房の使い方をメモしておくと、相談がスムーズです。
フルハタ建設では、一級建築士が現地で家の状態を確認し、窓・床・天井・壁の中から、ご家族の暮らしに合った断熱の進め方をご提案します。補助制度の活用についてもお気軽にご相談ください。
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