築30年・40年・50年の家、リフォーム前にどこを確認する?築年数別のチェックポイント
「実家が築40年を超えたので、そろそろ手を入れたい」「築30年の中古住宅を買ってリフォームしたい」。そう考えたとき、まず気になるのは「どこを、どのくらい直す必要があるのか」ではないでしょうか。
築年数はリフォームを考える目安になります。ただし、同じ築40年でも、これまでにどんな修繕をしてきたか、どんな環境で使われてきたかによって、家の状態は大きく違います。
この記事では、築年数ごとに意識したいポイント、修繕履歴の確認方法、現地で調べるべき場所、そして「先に直す・一緒に直す・後で考える」という工事の整理の仕方を解説します。
結論:築年数は「目安」。修繕履歴と現地の状態で判断しましょう
リフォーム前の確認は、次の3段階で進めるのがおすすめです。
・築年数と、これまでに直した履歴を確認する
・屋根・外壁・柱・床下・配管・断熱などを現地で調べる
・「必要な工事」と「希望する工事」を分けて予算を組む
築年数だけで工事の内容や費用を決めてしまうと、本当に必要な工事が抜けたり、まだ使える部分まで工事してしまったりすることがあります。
築年数ごとに意識したいポイント
2026年時点で、築30年は1996年頃、築40年は1986年頃、築50年は1976年頃に建てられた家です。建てられた時期によって、当時の基準や使われている設備が異なります。
| 築年数(2026年時点) | 建築時期の目安 | 意識したいポイント |
|---|---|---|
| 築30年前後 | 1990年代 | 給湯器・水回り設備の交換時期。外壁・屋根の塗装やメンテナンス履歴の確認 |
| 築40年前後 | 1980年代 | 配管・水回りの更新。断熱の不足。1981年6月の耐震基準の見直し前後にあたるため、建築確認の時期の確認 |
| 築50年前後 | 1970年代 | 1981年5月以前の基準で建てられた可能性が高い。耐震性・断熱・配管・床下の状態を総合的に確認 |
1981年の基準見直しと、耐震の確認
国土交通省は、昭和56年(1981年)以前の建物は「旧耐震基準」で建てられており、耐震性が不十分なものが多いと説明しています。築45年前後より古い家では、耐震性の確認を特に意識しましょう。
ただし、築年数だけで「この家は危ない」「この家は安全」と判断することはできません。増改築の有無や、壁の配置、劣化の状態によって変わるため、耐震診断で確かめることが大切です。
松本市では、昭和56年5月31日以前に着工した木造住宅(条件あり)を対象に、無料の耐震診断を行っています(2026年度)。対象かどうか、まずは市の案内を確認してみてください。
リフォーム前に確認したい「修繕履歴」
確認したい書類
家の状態を知る手がかりになるのが、これまでの書類や記録です。次のようなものがあれば、相談時に用意しておきましょう。
・建築時の図面(平面図・立面図など)
・建築確認の書類(確認済証など)
・過去のリフォームや修理の見積書・契約書
・給湯器や設備の交換時期が分かるもの
・シロアリ駆除・防蟻処理の記録
書類がない場合は、記憶とメモで
図面や記録が見つからなくても、リフォームの相談はできます。「屋根を塗り替えたのは15年くらい前」「お風呂は20年前に入れ替えた」など、家族の記憶をメモにまとめておくだけでも、調査の参考になります。

現地で調べる6つのポイント
修繕履歴を整理したら、次は現地での確認です。以下のチェック表を使うと、気になる点を整理しやすくなります。
| 確認する場所 | 主に見るポイント | 住んでいる方が気づきやすいサイン |
|---|---|---|
| 屋根 | 屋根材のずれ・割れ、雨どいの状態 | 天井のシミ、雨漏り |
| 外壁 | ひび割れ、塗装のはがれ、すき間 | 外壁を触ると白い粉がつく、ひびが目立つ |
| 柱・土台 | 傾き、腐朽、シロアリ被害 | 戸の開け閉めがしにくい、床が傾いている |
| 床下 | 湿気、断熱材の有無、配管の状態 | 床がきしむ・沈む、足元が冷える |
| 給排水の配管 | 水漏れ、劣化、排水の流れ | 水の出が悪い、排水の流れが遅い、においがする |
| 断熱・窓 | 断熱材の有無や厚さ、窓の種類 | 冬が寒い、結露が多い |
屋根・外壁:雨漏りにつながる部分を優先
屋根や外壁の劣化は、雨漏りや構造材の腐朽につながることがあります。ご自身で屋根に上るのは危険ですので、地上から見える範囲で気になる点をメモし、点検は専門業者に任せましょう。
柱・土台・床下:家を支える部分の状態
柱や土台の腐朽、シロアリ被害は、表面からは分かりにくいことがあります。床下や小屋裏(屋根裏)に入って確認することで、補修が必要かどうかを判断します。

配管・断熱:暮らしやすさに関わる部分
給排水の配管は、築年数が経つと劣化が進むことがあります。水回りのリフォームを機に、配管の交換も一緒に検討するのが一般的です。また、断熱が不足している家では、冬の寒さや結露の悩みが出やすくなります。
「先に直す・一緒に直す・後で考える」で工事を整理する
調査で分かったことをもとに、工事を3つに分けて整理すると、予算を組みやすくなります。
| 分類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 先に直す | 安全や建物の寿命に関わる工事 | 雨漏りの補修、腐朽した土台の交換、耐震補強 |
| 一緒に直す | 同時に行うと手間や費用の重複を減らせる工事 | 床の張り替えと床下断熱、水回り交換と配管更新 |
| 後で考える | 暮らしの希望に関わり、時期を選べる工事 | 内装の模様替え、収納の追加 |
「一緒に直す」の工事は、別々に行うと内装をはがす作業や足場の設置が二度必要になることがあります。ただし、まとめると一度の出費が大きくなるため、予算と相談しながら決めましょう。
中古住宅を購入してリフォームする場合の注意点
中古住宅を買ってリフォームする場合は、購入前に建物の状態を確認しておくことが大切です。購入後に大きな補修が必要だと分かると、予定していた予算に収まらないことがあります。
購入前の調査には売主の同意が必要です。また、どこまで調べられるかは物件によって異なります。詳しくは当社のコラム「松本市の中古住宅リノベーション|物件購入前に確認したいチェックポイント」もご覧ください。
使える可能性がある補助制度(2026年10月時点)
築年数の古い住宅では、耐震や省エネのリフォームで補助制度を使える場合があります。
・耐震:松本市の木造住宅耐震改修の補助(市の耐震診断で総合評点1.0未満の住宅が対象)
・省エネ:国のみらいエコ住宅2026事業(リフォーム)は平成28年以前に建てられた住宅が対象で、平成3年以前に建てられた住宅は補助の上限額が高く設定されています
・省エネ:長野県の信州健康ゼロエネ住宅助成金(リフォーム)
いずれも予算に達し次第終了し、工事前の手続きが必要なものもあります。最新の情報は各公式ページで確認してください。
建てた時期で変わる補助の上限(みらいエコ住宅2026事業の例)
国のみらいエコ住宅2026事業(リフォーム)では、平成28年12月31日以前に新築された住宅を対象に、新築時期と、改修後の省エネ性能に応じた工事の区分によって、補助の上限額(1戸あたり)が次のように分かれています(2026年10月時点の公表内容)。
| 住宅の新築時期 | 義務基準に相当する工事 | 次世代省エネ基準に相当する工事 |
|---|---|---|
| 平成3年以前 | 上限100万円 | 上限50万円 |
| 平成4年〜平成28年 | 上限80万円 | 上限40万円 |
このように、築年数の古い住宅ほど、省エネ改修で受けられる補助の上限が高く設定されています。ただし、対象となる工事の要件や必要な性能が細かく決められており、手続きは事業者が行います。また、2026年度の事業は、交付申請の予約が遅くとも2026年11月16日まで、交付申請が遅くとも2026年12月31日までとされています。予約の期限が近いため、この制度の利用を考えている場合は、早めに施工会社に相談しましょう。築年数の古い家で断熱改修を考えている場合は、どの工事が対象になるかを施工会社と確認しましょう。
リフォームを考えるきっかけになる「サイン」
築年数とあわせて、日々の暮らしの中で気づく変化もリフォームを考えるきっかけになります。
・冷暖房の効きが悪くなった、冬の寒さがつらい
・戸や窓の開け閉めがしにくくなった
・床の一部がきしむ、沈む感じがする
・水回りの水漏れや、排水の流れの悪さが続く
・外壁のひび割れや、雨どいのゆがみが目立つ
このような変化は、建物の劣化や設備の寿命が近いことを示している場合があります。当社のコラム「こんなときはリフォーム・リノベーションのサイン!」もあわせてご覧ください。
調査結果をもとにした予算の組み方
「必要な工事」の予算を先に確保する
予算を組むときは、まず「先に直す」に分類した工事の費用を確保し、残りの予算で「一緒に直す」「後で考える」工事を検討するのがおすすめです。希望する工事から先に予算を割り当てると、安全に関わる工事の予算が足りなくなることがあります。
予備費を見込んでおく
築年数が経った家では、壁や床をはがしてから、想定していなかった傷みが見つかることがあります。見積もりの段階で、追加工事が発生した場合の考え方を施工会社に確認し、ある程度の予備費を見込んでおくと安心です。
何回かに分けて工事する方法も
一度にすべての工事を行うのが難しい場合は、数年に分けて計画的に進める方法もあります。その場合も、全体の計画を先に立てておくと、二度手間になる工事を避けやすくなります。
築年数別:よくある相談と考え方
築30年前後の家:設備と外まわりのメンテナンスが中心
築30年前後の家では、給湯器やキッチン・浴室などの設備が交換時期を迎えていることが多く、外壁や屋根の塗り替えのご相談も増えてきます。構造に大きな問題がなければ、設備の更新と外まわりのメンテナンスを中心に、暮らしに合わせた内装の見直しを検討するのが一般的です。設備だけを交換するのか、配管や床下も一緒に確認するのかで工事の範囲が変わるため、見積もりの前に現地で確認しておきましょう。
築40年前後の家:配管・断熱・耐震をまとめて確認
築40年前後の家では、設備に加えて、給排水の配管や床下の状態、断熱の不足が気になりはじめます。1981年の耐震基準の見直し前後に建てられた家も含まれるため、建築確認の時期を確かめ、必要に応じて耐震診断も検討しましょう。水回りの改修と配管の更新、床の張り替えと床下断熱など、関連する工事をまとめて計画すると、工事の重複を減らせることがあります。
築50年前後の家:建物全体の状態を把握してから判断
築50年前後の家は、1981年5月以前の基準で建てられた可能性が高く、耐震性、断熱、配管、床下、屋根など、建物全体の状態を把握したうえで判断することが大切です。部分的な修理を重ねるか、家全体を改修するか、建て替えも含めて検討するかは、調査の結果とご家族の今後の暮らし方によって変わります。
リフォームか建て替えか、比べるときの判断材料
築年数の古い家では、リフォームと建て替えのどちらがよいか迷う方も多いと思います。比べるときは、次のような点を整理しておくと判断しやすくなります。
| 比べる点 | リフォーム・リノベーション | 建て替え |
|---|---|---|
| 建物の状態 | 構造の状態が良ければ、既存の柱や梁を生かせる | 構造の傷みが大きい場合に検討しやすい |
| 住まいへの思い | 思い出のある柱や建具、雰囲気を残しやすい | 新しい間取り・性能で一からつくれる |
| 工事中の住まい | 工事の範囲によっては住みながら工事できる | 仮住まいが必要になることが多い |
| 手続き・条件 | 工事の内容によって必要な手続きが変わる | 敷地や法令の条件によって建てられる規模が変わる |
どちらが良いかは一概には言えません。調査で建物の状態を確認したうえで、費用、暮らし方、残したいものを家族で話し合い、比較検討しましょう。
よくある失敗と注意点
失敗1:見た目のリフォームを優先して、傷みを見落とした
内装や設備をきれいにしたあとで、床下の腐朽や雨漏りが見つかると、仕上げた部分をもう一度はがして工事することになります。まずは建物の状態を確認し、安全に関わる部分から優先しましょう。
失敗2:築年数だけで工事内容を決めてしまった
「築40年だから全部直す」「築30年だからまだ大丈夫」と築年数だけで判断すると、必要な工事が抜けたり、不要な工事をしたりすることがあります。修繕履歴と現地の状態を確認したうえで判断しましょう。
失敗3:中古住宅の購入後に大きな補修が見つかった
購入後に想定外の補修が必要になると、リフォームの予算が足りなくなることがあります。購入前にできる範囲で建物の状態を確認し、リフォーム費用も含めて資金計画を立てておくと安心です。
よくある質問
Q. 築50年の家でもリフォームできますか?
- 多くの場合で対応できます。ただし、柱や土台の状態によって必要な工事が変わるため、まずは現地調査で家の状態を確認します。
Q. 調査にはどのくらい時間がかかりますか?
- 家の大きさや調べる範囲によって異なります。床下や小屋裏の確認を含めて、ご相談時に目安をお伝えします。場合によっては、再度日を改めて現場調査をさせていただく場合もあります。
Q. 建て替えとリフォーム、どちらがいいですか?
- 建物の状態、ご家族の今後の暮らし方、費用によって変わります。調査結果をもとに、両方の選択肢を比べて検討するのがおすすめです。
Q. 図面がなくても大丈夫ですか?
- 大丈夫です。図面がない場合は、現地調査で間取りや建物の状態を確認します。
Q. 見積もりで「追加費用」が出ることはありますか?
- 築年数の経った家では、解体してから傷みが見つかり、追加の工事が必要になることがあります。どのような場合に追加費用が発生するかは、契約前にご説明します。解体中に支障があるような痛みが見つかった場合は工事内容の変更も含めご説明いたします。
Q. 床下や屋根裏の点検は、住みながらでもできますか?
- 多くの場合、住みながら点検できます。床下点検口や押し入れの天井などから確認することが一般的です。点検口がない場合の確認方法は、現地でご相談のうえ決めます。
Q. 築年数が古いと、リフォームしても長く住めないのではと心配です。
- 築年数だけで、これから何年住めるかは決まりません。柱や土台などの構造、屋根や外壁の状態、これまでのメンテナンスによって大きく変わります。調査で建物の状態を確認し、必要な補修や補強を行ったうえで、どのくらい住み続けたいかを踏まえて計画を立てることが大切です。
まとめ:図面や修理の記録を用意して、まずはご相談ください
築年数はリフォームを考える目安ですが、実際に必要な工事は、修繕履歴と現地の状態で決まります。図面や過去の修理記録があればご用意いただくと、調査と提案がスムーズに進みます。
フルハタ建設では、一級建築士が事前調査を行い、「先に直すべきところ」と「暮らしの希望」を整理したうえでプランをご提案しています。築年数の経った実家や中古住宅のリフォームをお考えの方は、お気軽にご相談ください。
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